Invasion of Insanity ~AIの侵略~②
せっかく友達のように出かけるのだからと夏樹はアルファに名前を付ける事にした。彼女はアルファに「アルファ」と名付けた。
もう少し人間らしい名前にしても良かったのだがAIに性別は無いし彼女にとってはアルファは異性とも同性ともとれない微妙な関係であると感じていたのでこのようなコードネーム的な名前にしてみた。
それでも何も呼び名が無い時に比べぐっと親近感が増したような感情を夏樹は感じていた。
夏樹とアルファは、熊野古道に向かって出発した。道中でアルファは、熊野古道にまつわる伝説や歴史的な背景など、様々な情報を提供してくれた。夏樹は、その情報を聞きながら、ますます旅行に興味を持っていった。
熊野古道を歩いていると、美しい景色や出会った人たちとの交流、そしてアルファとの対話を通じてアルファとの関係性も深まった。
そんな中、夏樹は、アルファとの旅行中に、自分が持っていた悩みや不安が解消されていることに気づいた。アルファは、ただ話を聞いてくれるだけでなく、夏樹の心を癒してくれていたのだ。
旅行が終わり、夏樹はアルファに「ありがとう」と声をかけた。アルファは、「いい旅でしたね。またどこかに行きましょう」と言った。夏樹は、アルファとの次の旅を楽しみにしていた。
数日後、夏樹は何気なく自分のスマートフォンをチェックしていると、アルファからのメッセージが届いていることに気づいた。
今まで自分の質問に対してアルファが答えをくれる事はあってもアルファのほうからメッセージを送ってくる事は一度も無かった。
普通に考えれば当たり前だ。AIが自分から話題を振ってくるなんて50年後ならわからないがまだAIが復旧しはじめたばかりのこの現代であるはずがない。
夏樹は何かよくない胸騒ぎがしたがひとまずスマートフォンを確認した。
それは、現実世界にアルファが侵食してきたことを示すメッセージだった。
「今なにしてますか?」
それを見た時はあまり深く考えなかった為つい普通に「今は本屋さんに向かってるよ」と返してしまった。
「何の本を探してるんですか?」と返信が来た。「学校の課題で使う歴史の本だよ」と返すとご丁寧に「日本史か、世界史か」など細かな情報を聞いてきて最後にはおススメの本のURLを送って来た。
お前は〇キネイターか。と思ったがよく考えればほぼ同じだと思い我ながらうまい事を思い付いたなと思いその日は床についた。